三角比の教え方・解説のコツ【高校数学】

数学の解説のコツ

 

どうも、ベテラン塾講師のPENです。

このブログは、塾講師、家庭教師、教職課程の学生のために、私が塾で培ってきたノウハウを共有するために作りました。

 

PEN
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今回は、三角比の解説のポイントについて紹介したいと思います。

 

三角比の解説の最終目標

絶対にできるようになるべき3つのこと

 

まず、この三角比の単元解説の最終目標を確認しておきます。

 

生徒のあるべき姿は、次のようになります。

・単位円を使って、代表的な角度の三角比を求められる
・三角比の関係式を使いこなせる
・正弦定理と余弦定理を使いこなせる

 

この状態を目指して、私たちは解説や授業を組み立てていく必要があります。

逆に言うと、この目標に繋がっていない内容を極力省いたほうが、わかりやすい解説になりやすいです。

 

PEN
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解説はできるだけ、シンプルに作ります。

 

新しい概念の単元は導入が重要

 

三角比は、中学数学には無い新しい概念になります。

いきなり定義を紹介しても、生徒たちは戸惑ってしまいます。

 

そのため、導入については他の単元よりも丁寧に時間をかけても問題ありません

 

基礎知識である、三角形の相似や、直角三角形の辺の比から、しっかりと三角比に着地できる導入を心がけてみてください。

 

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それだけでも、三角比に対する苦手意識がぐっと少なくなるはずです。

 

三角比の解説のポイント

斜辺を1として、三角形の辺の長さを考える

 

定義についてはどの教材でも授業でも取り扱われますが、それだけでsinとcosの紹介を終えるのは早すぎます。

 

まずは、斜辺を1としたときの直角三角形を描き、そこで定義について改めて見直すような流れにします。

すると、対辺がsinθ、隣辺がcosθであることがわかり、三角比が斜辺との辺の比を表す数であることがわかりやすくなります。

またtanθについても同様に、隣辺(底辺)が1の直角三角形を描いてあげると、理解が深まりやすいようです。

 

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あまり一般的に使われていない解説ですが、私のお気に入りです。

 

単位円への接続を意識する

 

斜辺を1にしたり、隣辺を1にした直角三角形について考えるのは、もう一つの意図があります。

それは、単位円へのスムーズな移行です。

 

直角三角形だけで考えていると、鈍角以上の角にすぐ対応できなくなってしまいます。

また、数Ⅱの三角関数でも、考える上で支障が生じやすいです。

 

そのため、早いうちから単位円で三角比を考える癖をつけてあげると、結果的に時間の節約になります。

 

どの式で、何から何を求められるのか、付け加えて説明する

 

これは三角比に限った話ではありませんが、公式を紹介する際にはどのようなシチュエーションで利用するのかを説明するようにします。

 

例えば、三角比の関係式であれば、その関係式そのものよりも、

・3つのうち2つがわかれば、残りは計算できること
・sinからもtanからもcosを求められること

これら2つの要点を押さえた板書を心がけます。

 

同じように、正弦定理、余弦定理も、何を求めるときに使う式なのか、メモ程度の板書をしてあげると、後々見返したときに意味のあるノートになります。

 

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教科書に書いていない情報にこそ、板書やノートの価値があります。

 

授業の進め方の例

①相似から三角比への導入

 

次のポイントを押さえながら、中学数学から高校数学に移行していきます。

・相似な三角形の辺の比は等しい
・直角三角形の、斜辺との比、隣辺との比を意識させる
・角度に依存して、辺の長さが決まることに注目する

 

特に最後については、30度や45度などの慣れた直角三角形で確認すると、話の流れがスムーズです。

これらの直角三角形の斜辺を1にしてみると、さらにsinやcosの話がわかりやすいと思います。

 

②単位円への拡張

 

数Ⅰでは180°までの角を扱うことが多いですが、進学校などではすぐに360°まで角が拡張されます。

それを見越して、最初から単位円を使って角を求める習慣をつけさせておくと良いです。

 

なお、tanについては、「直線の傾きである」という教え方が一番スムーズに頭に入るようです。

 

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これも意外に講師側が忘れやすいポイントですね。

 

③三角比どうしの関係式

 

sinとcos、tanの相互変換についてです。

2つの値がわかっていれば、残りがすぐに求まることを強調します。

また基本的には符号ミスとの闘いになるため、何度もくどく符号については触れておきます。

 

なお、180°-θの式など角の変換式は、大筋から話がそれてしまうので、思い切って最初はスキップするというのも手です。

これらの式の多くは、数Ⅱの加法定理に統合されるため、受験生の場合はやる必要がありません。

 

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受験生は覚える量を減らしてあげましょう。

 

④三角形への応用

 

正弦定理や余弦定理など、図形の問題へと徐々に発展していきます。

この頃には、直角三角形以外でも、三角比を使うということになじませていく必要があります。

 

このなじませる作業が甘いと、三角比=直角三角形という構図が生徒の中に確立されてしまいます。

 

⑤数Aの図形問題との複合

 

内心Iや外心Oについて、角の二等分線についてなど、図形的な単元との複合問題を演習します。

単元横断的な発展なので、これまでの内容がある程度身についていることが大前提になります。

 

円に内接する四角形の、各三角比や辺の長さが求められれば、ひとまずは三角比関連については安心できるかと思います。

 

動画紹介

 

手前味噌ですが、私が実際に授業で解説している様子を録画したものをアップしました。

よければ参考にどうぞ。

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