どうも、ベテラン塾講師のPENです。
このブログは、塾講師、家庭教師、教職課程の学生のために、私が塾で培ってきたノウハウを共有するために作りました。

今回は、長文読解にフォーカスしてお話しします。
長文読解の授業の目的
授業の達成目標3レベル
まずは、長文読解の授業の到達度目標を決めておきます。
ここでいう目標とは、生徒がどのような状態になることを目指すか、のことです。
私は、長文読解の解説の目標は、次のように3つのレベルで定めています。
・精読ができる
・速読ができる
速読ができるようになれば、長文読解における目標がひとまず達成されたことになります。

この目標にたどり着けるよう、逆算して授業を組み立てていきます。
なぜ読めないのか、3つの原因
長文読解の解説をするということは、基本的に生徒が「長文が読めていない」ときのはず。
生徒が長文を読めないとき、大きく分けて3つの原因が考えられます。
・英文解釈力(1つの文を読む力)が足りない
・読解力(文章を読む力)が足りない
この3つの原因は、もちろん複合してしまっていることも多々あります。
講師側は、生徒に不足しているものを確実に見きわめて、授業をすすめる必要があります。

もちろん、不足しているものを補うのが、私たちの仕事です
あくまでも、読解力を育てるための授業
長文読解の解説は、さきの3つの原因のうち、最後の力を育てるためにおこないます。
逆に言うと、語彙力や英文解釈力(1つの文を読む力)については、別の授業で補足します。
この目的をしっかりと決めておかないと、長文の授業のはずなのに語彙力しか育たなかったりします。
語彙や文法力ではなく、あくまでも読解力にフォーカスした授業を展開したいところです。

目的意識は、生徒ともしっかり共有しておくといいですね。
長文読解の解説に入っていいかどうか
長文読解を実際にやっていく場合、ある程度の文法力があることが前提になります。
生徒が「長文が読めない」と言っているからと言って、安直に長文読解の授業をしてはいけません。
読めない理由が英文解釈力(1つの文を読む力)であれば、英文解釈や文法の授業が必要です。
もしくは、単に語彙力が足りていないだけかもしれません。

生徒の言い分ではなく、講師の見極めで解説する内容を決めます。
逆に、文法力があまりにも足りない場合は、まだ長文読解の授業をしていい段階ではない、ということになります。
1つの文が読めないのと、文章が読めないのは、全く異なる対策が必要だからです。
長文読解の解説のコツ、具体的な教え方
単語は調べてもいい
まず最初に、よくある勘違いです。

知らない単語を類推する力も必要だから、単語は調べるな。
こういう指示をする講師が非常に多いです。
確かに類推は必要な力ではありますが、それは基本的な読解力が備わっていてこそです。
読解力が備わっていない状態で、語彙力も足りないとなると、生徒は何もできません。
あくまでも読解力を鍛えるための授業なので、最初は単語はその都度調べても良いことにします。
もし単語を調べるだけで生徒が長文を読めるのであれば、不足しているのは読解力ではなく語彙力です。
単語テストや、日々の授業などで、語彙を鍛える方針に変更したほうが良いです。

その場合は、そもそも長文読解の授業など不要だ、ということです。
このように、長文が読めない3つの理由のどれがあてはまるのか、探りながら授業を展開していきます。
空所補充のない文章を使う
長文読解の解説には、空所補充のない長文を題材に使います。
空所補充は多くの場合、読解力ではなく文法力などが試されていることが多いためです。
そもそも、読解力とは「書いている内容を理解すること」です。
「書いていないことを埋める」のは、その周辺にある応用です。

同時にいろんなことを要求するのは、解説の目的から逸脱します。
最初のうちは応用が不要な、シンプルな長文を使うようにします。
また、解いてもらう問題も、極力「内容一致問題」のみにします。

センター試験の第6問、関西大学の過去問(一部)、などが使いやすいですね。
授業の流れ
パラグラフリーディングさせる
長文読解力の肝は、「各段落で何が主張されているのか」を把握することです。
この力をまさに付けられるのが、パラグラフリーディングです。
パラグラフリーディングとは、各段落の最初の1文を読むことで、その段落の内容をつかむ読み方です。
ただし、逆接語がある場合は、2つめの文も読む必要があります。
また、たまに、文の主張が段落の最後の1文に書かれていることもあります。
生徒には、各段落で主張されていることを考えてもらうようにします。
第2段落:アメリカでの、睡眠時間が減っている調査
第3段落:睡眠時間が減ることによる害①
第4段落:睡眠時間が減ることによる害②
のような感じですね。
もちろん、最初の文だけでここまでしっかりと書けないケースも多々あります。
その場合は、2つ目の文まで読んでもいいなど、柔軟に対応するようにします。
具体的な内容は、その後の精読できちんと読んでいくことになります。

この読解方法は、小説ではなく評論形式の長文にのみ適用することができます。
精読させる
パラグラフリーディングが終わったら、各段落を精読していきます。
精読の段階では、各文法や構文なども、同時に確認していくことになるでしょう。
しかしあくまでも長文読解の授業なので、補足的に解説する程度に留めるようにします。
必要であれば、別の授業の際にその文法事項についてしっかりと授業をする必要があります。
文法力や語彙力が十分にある生徒であれば、この精読はある程度問題なく終わることが多いです。
精読が終わったら改めて、パラグラフリーディングで把握した段落の内容と一致しているかどうか確認します。
速読させる
速読は、これまでの長文読解の解説とは少し毛並みが異なります。
まず速読には2つの種類があることに注意しましょう。
・「返り読み」なしで読みすすめる速読
これらは方法も目的も全く異なるものです。
自分が生徒に伝えたいのは、どちらの速読なのかを明らかにしておく必要があります。
なお、後者の速読をマスターさせると、「返り読み」を全くせずに読むことができるようになります。
すると、リスニングの点数も同時に上がっていくので、どこかで必ず習得させたいものです。
読み返しをしない、ということは意図的に可能なので、ぜひ挑戦させてみてください。
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