どうも、ベテラン塾講師のPENです。
このブログは、塾講師、家庭教師、教職課程の学生のために、私が塾で培ってきたノウハウを共有するために作りました。

今回は、数Ⅲにもつながる重要な単元、「微分」についてです。
微分の解説の目標
まずは、微分の単元解説での、生徒のあるべき姿を確認しておきましょう。
今回は、次の3つに定めてみました。
・3次関数のグラフが描ける
・3次方程式の実数解の数がわかる
この3つを目標に設定し、これを達成できるように授業を組み立てていく必要があります。
逆に言うと、この3つに関係のない話は、極力スキップしたほうがわかりやすい授業になります。
微分の解説のポイント
微分積分、という言葉だけ知っている生徒が多い
数Ⅱや数Ⅲでも重要であるこの単元は、言葉だけ聞いたことがあるという生徒が多いです。
そのため人によっては、「難しそうだな」という先入観を持っています。
この難しそうなイメージを崩しながら、どれだけ中学数学とつなげられるかが重要です。
中学数学では、変化の割合や直線の傾きが導入にあたります。
そこから微分係数の定義まで、できるだけシンプルに話を展開したいところです。

やっぱり難しい、と思われたらオワリです。
何をする単元なのか、最初に言う
これはどの単元にも通じる話です。
難しいと思われないために、まずはこの単元の趣旨を話してしまいましょう。
微分の場合であれば、
・グラフの概形がわかる
という目的があることを最初に話してしまいます。
その上で、平均変化率の話に入っていくと、よりスムーズに授業を展開できるはずです。
「極限」に深入りしない
微分係数や導関数の定義では、極限の知識が必要になってしまいます。
今回はまだ数Ⅱの段階なので、できるだけ極限についての話を避けるようにします。
とはいっても紹介しないわけにはいかないので、軽く触れる程度に済ませます。
極限の話に入ってしまうと、肝心の「傾きを求める計算」からどんどん離れてしまいます。
しかも極限の内容は数Ⅲなので、どうにも難しそうな話になりがちです。
数学的な正しさなどはさておき、とにかく微分係数を求められる目標から逸脱しないようにしましょう。

極限は、難しく思われる確率No1です。(私調べ)
接線の方程式は暗記させない
微分係数や導関数の話が終わると、自然と接線の方程式の話に入ります。
そこで公式が登場するわけですが、これは暗記する必要のない式です。
以前の数Ⅱの単元で、直線の方程式を覚えていれば済む話だからですね。
接線の公式を紹介すると言うよりも、直線の方程式を復習するという観点で授業をするようにします。

覚えるものはできるだけ増やさないほうがいいです。
「f'(a)=0」について話す
グラフの作図に向けた導入の話です。
いきなり導関数を求めていくのもアリですが、導入として「微分係数=0」の意味をはさんでおくと、理解がスムーズです。
傾きが0になる瞬間のパターンを紹介し、その上で増減表に入ります。
すると、前後の符号が重要なことに自然と気づきやすくなります。
授業の進め方の例
①微分とはなにか
まずは微分の計算そのものの意味を紹介します。
もし物理を選択している理系の生徒であれば、単位の話に触れてもいいかもしれません。
単位がy軸/x軸になること、例えば速度や加速度の話をすると、導入として興味を持ってくれる可能性があります。

ただし、かなり理系に強い生徒であることが前提です。
②導関数とはなにか
いちど定義どおりに微分係数を求めると、計算が面倒だと思ってくれるはずです。
そこで、計算をせずに済む魔法のツールとして、導関数を登場させます。
導関数の紹介のときにはあまり定義に触れず、定理で求めたほうが魔法のツール感が強まります。

こんなに便利なもの、使わないほうが損だ、と思わせます。
③接線の式を求める
微分係数を求めた後は、直線の方程式の復習をします。
そこがきちんと理解できていれば、接線の方程式はあえて公式としては登場させません。
数学が得意な生徒であれば、平面上の点からグラフに接線を引く問題も扱ってもいいかもしれません。
苦手な生徒であれば、まずは最後まで進めてから、問題演習や応用として解説するようにします。
④微分係数=0とは
増減表やグラフの作図の導入として、微分係数が0になる瞬間のグラフの形について考えてもらいます。
ここで、単調増加・減少や、極の概念に触れてしまうのもアリです。

私はグラフを描いてから紹介することが多いです
⑤増減表とグラフを求める
④の導入から、スムーズに増減表の話に入ります。
前後の符号が重要だということに気づいていれば、増減表を埋めるのにも抵抗が少ないはずです。
その後は、実際にグラフを描いて確認してあげましょう。

数学が苦手な生徒であれば、まずは2次関数のグラフから試します。
動画紹介
手前味噌ですが、微分の解説動画を紹介しておきます。
参考にしてみてください。
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